前回の「国内ETF(上場投資信託)の特徴とメリットやデメリット」では、ETFの概要を紹介しました。
まず、ETFって何?と思われた方は、以下の記事をお読み下さい。
概要は分かったけど、ETFにはどんな種類があるの?
ETFには、国内の株式や債券だけでなく、海外の資産にも投資できる様々な種類があります!
今回は、ETFには、どのような種類(インデックス)があるのかを、国別や資産別(株式、債券、リートなど)に紹介してみたいと思います。
国内上場のETFと海外上場のETF
まず、大別できるものとしては、日本国内の証券取引所に上場されている国内上場のETFと米国や香港などの海外の証券取引所で上場されている海外上場のETFがあります。
私個人は、海外で上場されてるETFも保有していますが、当サイトでは、初心者向けとして、主に国内で上場されているETFについて紹介したいと思います。
ETFには、国内で上場されているETFと海外で上場されているETFがあるよ。
国内で上場されているETFの種類(インデックス)
国内で上場されているETFは、大別すると以下ようなものがあります。
- 日本国内の株式、債券、Jリートに投資するETF
- 米国などの先進国や新興国の株式、債券、リートに投資するETF
- 原油や金などのコモディティ(商品)に投資するETF
- レバレッジ型やインバース型のETF
順に説明していきましょう。
日本国内の株式、債券、Jリートに投資するETF
2019年7月現在で日本国内の株式、Jリート、債券などのインデックスに投資するETFは、112銘柄(レバレッジ・インバース型を除く)と国内上場のETFの約半数となっています。
国内の資産に投資するETFが約半数なのね。
国内株式に投資するETF
国内の株式に投資するETFには、様々な投資指標(ベンチマーク)があり、大別すると以下のようになります。
代表的な指数 | 日経平均、TOPIX、JPX400、マザース |
業種別指数 | 銀行業、鉄鋼業、自動車、商社、食品など |
スマートベータ | 高配当、ESG、低ボラティリティなど |
代表的な指数であれば、日経平均株価やTOPIX、JPX400、マザーズ指数に連動したETFがあります。
日経平均に連動したETFの場合は、東証一部に上場する225銘柄の株式を少量ずつ保有する事になります。
TOPIXに連動するETFであれば、東証一部に上場する全銘柄。JPX400インデックスに連動するETFの場合は400銘柄を少量ずつ保有します。
またマザーズ指数や JASDAQ-TOP20 指数など新興市場の株式に連動したETFもあります。
業種別の指数としては、銀行などの金融業や小売業、鉄鋼業など各業種ごとの指数に連動したETFも多数あります。
また、スマートベータといって高配当な銘柄や近年注目されているESGの指数に連動したETFもあります。
スマートベータ?
各運用会社が独自に調査して設定したベンチマークです。
スマートベータには、高配当を目的としたものや、低ボラティリティ(低変動率)を目的としたETFがあるよ。
国内債券に投資するETF
国内債券に投資するETFは以前はなかったのですが、2017年に野村のNEXT FANDSシリーズから上場されました(2510)。
出来高も少しずつ増えてきているようですね。
現在の国内債券の利回りは、ほとんどありませんが、日本国債に連動するETFを保有する事で、株式の下落時に保有資産(ポートフォリオ)全体の損失を緩和します。
分散投資をして、リスクの軽減を考えている方には、国内債券のETFは必須だね!
国内リート(不動産)に投資するETF
国内資産に投資する際、J-REITは、外せない存在になってきました。
REIT自体が個別で上場されていますが、東証REIT指数に連動したETFも上場されています。
Jリートに投資するETFの最大の魅力は、配当利回りが高いという事です。
リートは、出資者から集めた資金を基にビルやテナントなどの不動産を購入し、それを売却したり、貸し出して家賃収入を得る事を目的に運用される投資信託の一種です。
ETFとしては、国内リート全体に投資する東証REIT指数に連動したものや、高配当なリートを選抜して投資するETFがあります。
REITは、分配金が高いのが特徴ね!
海外の株式や債券、リートに投資するETF
国内で上場されているETFは、国内資産のみと思われている方も多いかもしれませんが、ここ数年で、世界最大手の運用会社であるブラックロック社のiシェアーズシリーズや野村アセットマネジメントのNEXT FANDSシリーズなど、海外の資産に投資するETFが数多く組成されました。
海外の株式に投資するETF
国内で上場されている海外の株式に投資するETFをいくつか紹介してみましょう。
米国株に投資するETF
現在の世界の株式市場では、全世界の株式の時価総額の約半数がアメリカであり、米国一強と言えるほどの影響力を持っています。
国際分散投資をする上では欠かせない存在と言えるでしょう。
アメリカの株式に投資するETFとしては、日本でも有名なNYダウやナスダック100に連動したもの、またアメリカの大型優良株500社に投資するS&P500指数に連動したETFがあります。
実体経済だけでなく、株式市場でもアメリカが中心に回っているんだね。
先進国の株式に連動するETF
先進国に投資するETFとしては、MSCIコクサイインデックスに連動したETFがあります。
MSCIコクサイインデックスは、日本を除く北米や欧州などの先進国の株式に投資するベンチマークです。以前から海外に投資する投資指標として投資信託などで多く採用されてきました。
構成の比率としては、約半数が米国であり、英国が約10%程度、次いでドイツ、フランス、カナダなどが続きます。
またスイスの運用会社であるUBSが組成した、英国やスイスといった単一国に投資するETFや欧州の大型株50社に投資するETFなどもあります。
新興国の株式に投資するETF[
新興国の株式に投資するETFとしては、まず 新興国全体に投資するMSCIエマージング・マーケット・インデックスに連動したETFがあります。
また中国やインド、ブラジル、ロシアなど単一国の株価指数に投資するETFも組成されています。
新興国に投資する際の注意点は、やはり値動き(リスク)が大きいというのがありますね。
また株式に限らず、米国の金利が上がると、新興国の資産からは、総体的に資金が流出します。
結局、現時点では新興国も米国経済の影響を多大に受けると言って良いと思います。
全世界の株式に投資するETF
全世界の株式に投資するETFとしては、 MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本)に連動したETFがあります。
このETF一つで世界45か国(約2400銘柄)へ投資する事が可能です。
構成比率は、やはりアメリカが群を抜いていて、5割を超えています。次いで英国、フランス、ドイツ、カナダといった先進国が並び、中国も4%程度含まれています。
海外の債券に投資するETF
では次に、国内で上場されている海外の債券に投資するETFを紹介してみましょう。
米国の債券に投資するETF
株式と同じく債券の分野でも、アメリカという国の影響力は非常に大きいです。
最大の理由は、米国債の10年ものの市場金利は、2019年6月現在で、2%前後はあり、これは先進国の債券の中では、ダントツの高さとなります。
※ 2020年のコロナウィルスを発端とした、金融緩和政策で、2020年9月現在では、0.7%前後。
日本や欧州の一部の国債は、すでにマイナス金利となっています。
現在の日本国債の5年物の定額金利が0.05%と考えると、どれだけ高いかが分かると思います。
また債券の価格は、株式と比べれば緩やかですから、リスクを抑えた上で安定した金利を得たいのであれば、やはり米国債に投資する人が多いのも頷けます。
国内で上場されている米国の債券に投資するETFとしては、為替による変動リスクを抑えた為替ヘッジ有りのタイプと無しのタイプがあり、他にも投資適格社債やハイイールド債に投資するETFもあります。
先進国の債券に投資するETF
先進国の債券に投資するETFとしては、 シティ世界国債インデックスをベンチマークとしたETFがあります。
シティ世界国債インデックスは、日本を除く世界22か国の国債を基に算出された投資指数です。
構成比率としては、やはり米国が一番多く約40%を占めています。次いでフランス、イタリア、英国、ドイツなどのヨーロッパが約半数を占めています。
新興国の債券に投資するETF
新興国の債券に投資するETFとしては、JPモルガンン・ガバメント・ボンド・インデックス・エマージング・マーケット・グローバル・ダイバーシファイド(長いですね)に連動したETFがあります。
JPモルガンの当指数の構成国に中国は入っておらず、メキシコ、ブラジル、ポーランド、インドネシア、南アフリカなどがそれぞれ10%程度の比率となっており、約半数を占めています。
海外のリートに投資するETF
海外のREITもやはり配当利回りが高いのが特徴です。
米国のリートに投資するETF
米国のREITに投資するETFとしては、iシェアーズ 米国リート ETF (1659)があります。
2020年9月現在の分配金の利回りは、3%前後ですが、インカムゲインを目的とした投資をしている方には、かなり魅力的な投資対象と言えるでしょう。
米国REITの特徴は、米国債の金利が上がると、資産が流出します。つまり米国株との連動性が高いと言えます。
全世界のリートの時価総額の比率を見ると、67%がアメリカとなっています。ちなみに日本は7%です。
REITの市場でも、やはりアメリカ経済の影響は、大きいようです。
先進国のリートに投資するETF
先進国のリートに投資するETFとしては、 S&P先進国REIT指数(除く日本)を投資指標としたETFがNEXT FANDSシリーズから組成されています。
S&P先進国REIT指数(除く日本) の国別の構成比率を見ると、やはり7割以上がアメリカとなっています。次いでオーストラリアが8%、英国が5%程度です。
米国に単一で投資するよりも、2020年9月現在では、配当利回りが高くなりますし、先進国全体に投資するため、分散効果は高まります。
他にオーストラリアのリートに単独で投資するETFも国内で上場されています。
新興国のリートに投資するETF
現時点で新興国全体に投資するREITのETFはありませんが、アジア全般のリートに投資する(FTSE EPRA/NAREIT アジア(除く日本)リート10%キャップ指数)に連動したETFがあります。
構成の国別の比率としたは、シンガポールが約6割、次いで香港が約2割、中国が約14%となっています。
原油や金などのコモディティ(商品)に投資するETF
原油や金などのコモディティ(商品)に投資するETFは、原則的に分配金は出ませんが、金やプラチナなどの現物との交換が可能なETFもあります。
また、特に金は株式とは相対する値動きをする事が多いため、分散効果を高めると言われています。
2020年9月時点では、金価格はかなりの高値圏となっています。
レバレッジ型やインバース型のETF
レバレッジ型は、ブル型とも呼ばれ、通常の株価の2倍の値動きになるように設定されています。
購入後に株価が値上がりした場合は、2倍の利益が出ますが、逆に値下がりした場合は、損失も2倍になります。
インバース型は、ベア型とも呼ばれ、通常の株価の値動きに対し、逆の値動きをするように設定されたETFです。
2020年時点では、日経平均とNYダウのインバース型、そして日経平均やTOPIXの-2倍の値動きをするETFが上場されています。
インバース型は、購入後に株価が値下がりした場合は、2倍の利益が出ますが、上昇した場合は、逆に2倍の損失が出る事になります。
どちらも、値動きが大きいですし、長期投資には向かないので、初心者のうちは、手を出さないほうが賢明かもしれません。
後々、レバレッジ型やインバース型についての記事を書く予定です。
ETFには、どんな種類があるの?まとめ
今回は、ETFには、どのような種類があるのかについて、地域別、資産別に紹介してみましたが、いかがだったでしょうか?
ETFによる投資も現在では、国際分散投資が一般的となってきています。
国内の投資対象だけでなく、今回紹介したETFをいかに組み合わせて分散投資していくかが重要だと思います。
ちなみに私の場合は、現在は米国の株式や債券など、やはり海外の投資指標(インデックス)に投資する機会が多くなってきています。
最大の理由は、長引く金融緩和政策でわが国の投資対象が適正な取引がしづらくなってきているからです。この件は、またの機会にお話したいと思います。
次回は、ETFの銘柄の選び方について紹介したいと思います。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。